自然の中で子供をたくましく育てよう。御槇の森を舞台に、子供たちを見守りながら、自然の中から感性を磨き、生きる力を引き出します。

『さぁ のはらへいこう』上映報告

3月17日に、

『さぁ のはらへいこう』の上映会を開催しました。

 

御槇と松山の2会場と、

前日に行ったスタッフ向けの上映会を合わせると、

合計62名の方々にご来場いただきました。

 

まずは16日の上映会の様子から。

 

普段みまき自然の学校に参加されていて、

翌日スタッフとして動いてもらえる方々を対象に、

15時半から上映を開始。

当日は宇和町で自主保育をされている「たねっこ」の方々も参加されました。

 

[130316]上映会【スタッフ試写】009.jpg

 

さすがにこの日は託児を用意できなかったので、

かなり賑やかな上映会となってしまいましたが、

みまき自然の学校に参加されているお母さん方に、

一番見て欲しかったので、それが出来て良かったです。

 

上映中に御槇に到着された相川さんには、

御槇をグルッとご案内し、

出井の甌穴や、山本牧場などを紹介していました。

 

その後、

上映会場の福田百貨店に戻り、

相川さんを囲んでの交流会を行いました。

 

この日の交流会のお食事は、

Yogaの家の門多さんに作っていだいたマクロビ弁当です。

 

[130316]上映会【スタッフ試写】023.jpg 

「親子共に食べやすくて、交流会がスムーズに運ぶお弁当」

という要望にうまく応えて頂き、

食べやすさ重視のマクロビ巻き寿司弁当でした。

見た目も華やかで、とても美味しかったです。

 

[130316]上映会【スタッフ試写】019.jpg 

はるばる鎌倉からお越しいただいた相川さんと、

身近にお話が出来るせっかくの機会なので、

1人ずつ自己紹介と、

映画の感想・質問を言ってもらいました。

 

[130316]上映会【スタッフ試写】082.jpg 

やはり質問する人それぞれに、

感じたことや子育てで思い悩むことは違って、

いろんな方向からの質問が出て参考になりました。

 

僕が心に残ったのは、

「最初は大人が話しかけていたら、

 そのうち逆に子どもが教えてくれるようになる。」

と言われていたこと。

 

実は、昼間に御槇を案内した際、

相川さんと僕に加え、

我が家のいっちゃん(2才)も同行していたのですが、

山本牧場を散策する際に、

歩くのをグズっていたいっちゃんに、

相川さんがずっと話しかけてくれていました。

途中まで僕もその会話に参加していたのですが、

どうやら相川さんが"子供の引率モード"でやってくれていると感じたので、

途中から僕は口を出すのをやめて、

様子を見守ることにしました。

 

ずっと「抱っこしてー」と、

言っているいっちゃんに、

相川さんはいろんな言葉を投げかけていました。

「ここに生えているお花さんは何の花かな?いっちゃん知ってる?」

「牛さんの鳴き声はどんなのかな?相川さんに教えて?」

「牛さんはいつもどこにいるの?」

「あ、お屋根が見えてきたね。あそこにいるのかな?」

「あ、鳥さんが鳴いているね。あれはなんていう鳥かな?」

などなど。

いくら言葉を投げかけられても、

しばらくいっちゃんは意に介さず「抱っこ」とぐずっています。

 

でもそのうち1つ2つと、

いっちゃんが興味を引かれる言葉に出会い、

思わず「ん?」と反応していました。

 

子育てをされているお母さんならわかると思いますが、

頑固にグズっている子の気をそらすのは大変です。

ただ、気持ちが別のことに向かう瞬間というのも、

体験されたことがあると思います。

まさにそれを意図的にやってのけるという感じです。 

 

そしてそのうちに、

「牛さんはあっちにいるんだよ。」

「コレ、牛さんのウンチ」

など、いっちゃんの方から話し出すようになっていました。

そしていつの間にか、

グズるのをやめて楽しそうに一人で歩いていました。

 

昼間にその様子を見ていたので、

まさにこのことかと思いました。

何かを強制するわけではなく、

無理に機嫌を取るわけでもなく、

自然と子供の気持ちが前に向くように、

子どもの興味を引き出すという感じでした。 

 

あとある方の質問で、

「映画の中で、なかよし会を初めた時の最初の募集チラシに、

 『自分の時間が欲しい方』というようなことが書いてあったのが気になった。」

という声に対して、

「やはり子供と1対1でずっといると、窮屈になってイライラしてしまう。

 母親にゆとりがないと、子どもにも優しく接せられない。

 お互いに預けあうことで、少しでも子どもから離れて自分の時間が持てれば、

 精神的にゆとりが持てて、子どもにもゆとりを持って接せられる。」

と言われていて、お母さん方の共感を得ていました。

 

16日のスタッフ向けの上映会はそんな感じで、

映画への質問に加えて、

個々のお母さん方のお悩み相談的な雰囲気もあり、

お母さん方はそれぞれ良いお話が聞けたのではないかと思います。

 

 

明けて17日。

一般向けの上映会です。

 

上映会と講演会の間、

お母さんが子どもに気を取られず集中して参加出来るようにと、

子どもたちを「みまき自然の学校一日体験」として、

屋外託児で預かりました。

 

[130317]上映会【御槇会場】自然の学校.jpg 

映画の上映中は講師の相川さんもすることがないので、

山で遊ぶ子どもたちの様子を見に来て貰いました。

 

その際、車から降りて山に移動するときに、

ずっと動かずに泣いている子がいました。

「おがぁさ~ん!おがぁさんの所に行く゛ぅ~!!」

という調子で泣き止む気配も、動く気配もありません。

 

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すると、計らずしも相川さんがその子の引率をしてくれることになりました。

「お母さんのところに行く」と泣き叫ぶ子に、

「あっちにお母さんがいるよ。お母さんのところに行こう。」

と、相川さんが話しかけていました。

 

「あれ?ウソついちゃうんだ」と僕は思ったのですが、

その場に一緒に居た引率スタッフも同じように感じたそうです。

 

でも、後で相川さんの話を聞くと、

「あっちにお母さんがいるというのはウソじゃなくて、

 あっちに行って、あっちに行って、もっとあっちに行って、

 そのうち遊び終わってあっちに行ったら、お母さんのところに辿り着く。」

とのこと。

それは別にウソをごまかす言葉のあやなどではなく、

ちゃんとした理由がある訳です。

 

「子どもは一度泣き出したら、

自分でもどこで泣き止むかという泣き止みどころを探している。

きっかけがないと泣き止めない。

だからお母さんがあっちにいるというのは、

そのきっかけを作ってあげること。」

と言われていました。

確かに、

あれだけ大風呂敷を広げて盛大に泣き出してしまったら、

泣き止みどころがないと子供も泣き止めないのだろうなと、

納得しました。

武士は抜いた刀を簡単には納められないというやつでしょうか。

 

実際に、

お母さんがあっちにいるという言葉で歩き始めました。

 

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山に入るまで泣いていましたが、

相川さんと山の中に消えて行き、

気付いたら上機嫌で遊んでいました。

 

[130317]上映会【自然の学校】066.jpg

 

大人の関わり方一つで、

子どもが楽しく過ごせるかどうかも大きく変わります。

子どもに対して終始穏やかに優しく話しかける話し方や、

子どもの気持ちを察する観察力は、

すぐにマネできるものではないかもしれませんが、

とても参考になりました。

 

親ならきっと、

「常に我が子にもそういう態度で接してあげたい。」

と思うことでしょう。

「ところが、他人の子には出来ても、我が子にはなかなか難しいのよね。」

と、相川さんは笑っていました。

 

上映会の後に、

みまき自然の学校のお母さんたちが作った、

玄米ご飯定食を食べたら、

お昼からは相川さんの講演会です。

会場からはいろんな質問が飛びました。

 

「危険なことをやっていたら、自分はそれを見守れる自信がない。」

「どこまでが危険でどこまで大丈夫かどうやって判断するのか?」

「危険なことをさせて文句を言ってくる難しい親はいないのか?」

「ケンカをしていたらすぐに止めてしまいそう。」

「棒を振り回して危ない時など、ダメと言わないのか?」

という安全面や大人の口出しに関する問いかけがやはり結構ありました。

 [130317]上映会【御槇会場】049.jpg

 

というのも、

"一般的な普通の目線"で、

この映画やなかよし会の活動を初めて目にしたら、

驚くような危険なことや、

一見してすぐ止めに入るようなケンカを盛大にやっています。

しかも1才~3才の子どもたちがです。

何の免疫もなければかなりビックリすると思います。

 

会場の声に対して相川さんは、

『"青空自主保育"であることが大事だ。』

と、なかよし会の真髄を語ってくれました。

『自然の中で子どもを遊ばせるという"青空保育"だけではダメで、

 親元を離れて保育士が面倒を見るだけなら、

 なかよし会のような活動は難しい。

 なかよし会は"自主保育"でやっており、

 親が実際に当番で引率に入る。

 引率に入ったら、子どもたちが実際にどんなことをしているのか、

 自分の目で見ることが出来る。

 危ないと思えることをしていても、

 それを幼い子どもがたくましくやってのける姿も目の当たりにするし、

 子どもたちがいかにたくましいかを実際に見る事が出来る。

 自分の目で見ているからこそ子どものことを信頼できる。

 "自主保育"として親同士も様々な運営の役割を担うことで、

 コミュニケーションが取れて信頼し合える。』

という趣旨のことを言われていました。

 

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また、

危ないことについては、

保育者が責任を持って事前に把握しているとのこと。

メンバーや天候や子供の体調やその日のコースなど、

様々なことを事前に把握したうえで判断しているそうです。

また、

「あの子ならここまでやっても大丈夫」とか、

「あの子はまだ出来ないから少しフォローしてあげる」など、

子どもに応じた対応もしているそうです。

 

たとえ危険なことがあったとしても、

「それは危ないからダメ」ストレートに言うのではなく、

危ない場所があったらそっちに気が行かないように他に気を向けたり、

本人や子ども同士で気付かせるような言葉を投げかけたり、

といった対応をされているそうです。

 

いろんな話があったので全部は書ききれませんが、

全体を通して感じたことは、

『子どもを良く見て考える』という視点です。

 

川さんの回答で、

「とにかく実際にやってみて、やりながら考えれば良い」

ということをよく言われていました。

 

Q「リュックの中には何を持っていかないといけませんか?」

A「バンソウコウが少しと包帯と・・・、でも何が必要かは実際にやってみて、

  これがいるとかやっぱりこれがいらないとか判断したらいいと思う。」

Q「子どもが冬でも半袖や7分丈なのはなぜですか?寒くないのですか?」

A「子どもは遊んでいたらすぐ袖を濡らす。すると濡れたところがいつまでも寒い。

  だから袖がない方が良いと気付く。実はそれが一番機能的。

  子供の行動をよく見ていたらわかる。」

といった具合です。

相川さんは常に子どもの側にたっても物事を判断しているという印象です。

そして、子どものことをよく観察して、

「今何をしたいのか?」

「何を考えているのか?」

「どうしてそうしているのか?」

と、子どもの気持ちを慮って(おもんばかって)いるということです。

この、『子どもを良く見て考える』という視点が、

子育てをする上でとても大事なことなのだけれど、

自分を含め、多くの大人に欠けているのではないかと

思わされました。

 

結局子育てでは、

子どものことを良く見て判断するということが一番大事なんですね。

言われてみれば当たり前すぎる話です。

でも、

子ども(特に我が子)といると、

見るより先に口や手が出ちゃうという人も、

多いと思います。

少しずつでも、心掛けていくことが大事ですね。 

 

 

みまき自然学校は、

今のところ「青空保育」7割、

「自主保育」3割ぐらいの活動になっていますが、

「自主保育」という部分をもう少し強めて行きたいなと思います。

 

『なかよし会に来ている時だけが特別というのではなく、

 食べるものにしろ着る服にしろ、

 なかよし会でやっていることが"日常"であることが大事だ』

 

と相川さんが言われていましたが、

現在は月に1回というイベント的な開催になっているみまき自然の学校も、

子どもたちの"日常"の中に組み込めるように、

していきたいなと思っています。

 

自然の中で遊ぶことも、

同年代の仲間たちと育つ時間も、

体に良い食事も、

それが日常となるような子育てが出来れば良いなと思います。

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なお、

今回御槇での上映のあとに、

松山でも上映&講演も行ったのですが、

重複する質問なども多かったので、

まとめて書かせて頂きました。

 

松山の上映会場はこんなところで↓↓↓

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その後の交流会場となったカフェはこんな感じでした↓↓↓

 

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最後に、

当日スタッフとして活躍して下さった皆さま。

前売り券の販売や会場の設営などご協力頂いた皆さま。

ありがとうございました。

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