自然の中で子供をたくましく育てよう。御槇の森を舞台に、子供たちを見守りながら、自然の中から感性を磨き、生きる力を引き出します。

夏合宿の報告

きっと都市部に住みながら、

「自然の中で子供を育てたい」

と思っている人は、いっぱいいると思います。

 

でも日本中、田舎はいっぱいあるけれど、

縁もゆかりもない田舎の未知の自然に、

いきなり飛び込んで子供を遊ばせることは簡単ではありません。

 

田舎で子供を遊ばせたいけど、

どこで遊ばせたらいいのかわからない人は結構多いことだと思います。

 

 

 

逆に、田舎の方から考えてみると、

御槇には自然があって、

子供たちを受け入れられる受け皿があるのだから、

都市部の子供たちを受け入れてあげることが出来れば、

きっと喜んでもらえるに違いないと思うわけです。

 

それに、御槇には自然がありますが、

宇和島近辺には自然育児に関する潮流がまだまだありません。

全くないわけではないですが、

そういうことに興味のある人の絶対数が少ないです。

 

都市部から自然育児に興味のある人を御槇に呼び込み、

お互いに交流を深めることは出来ないだろうか...?

 

 

そんなことをいろいろ考えて一念発起して企画したのが、

『みまき自然の学校 夏合宿』です。

 

 

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728日(土)~30日(月)の23日で、

『みまき自然の学校の夏合宿』を開催しました。

 

普段は地元宇和島の子供たちを対象に、

活動しているみまき自然の学校ですが、

今回の合宿はちょっと違います☆

 

情報を幅広く発信して、

都市部からの参加者を募りました。

 

 

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参加者は「東京」「鎌倉」「松山」「高知」「高松」と、

幅広く遠方から集まりました。

 

それにプラスして、

いつもの地元のメンバーも2家族参加して、

合計7家族での合宿となりました。

応援で来てくれたサポートスタッフを含めると、

合計30人を超える大所帯です。

 

 

参加したメンバーの属性も割と似通っていて、

青空自主保育の本場、鎌倉で子供を自主保育に通わせていた方や、

自然育児に興味のある方。

キャンプ好きなご家族。

森のようちえんに興味のあるご家族などなど、

みまき自然の学校の趣旨に沿う様な方々に集まって頂けました。

 

 

 

初日。

 

 

初めて顔を合わせたメンバーは、

オープニングミーティングで自己紹介などをし、

まず最初に合宿中の寝床となるテントを張る作業にかかりました。

 

 

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今回の合宿はキャンプなので、

テント張りから食事の準備まで、

参加者自身に動いてもらうことが結構多かったです。

 

宿泊施設がない御槇で泊まる手段として考えた苦肉の策が、

牧場の草原を利用してのキャンプです。

 

 

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普段は牧場なので当然キャンプなど出来ないのですが、

一緒にみまき自然の学校の運営をしているメンバーの牧場だから、

この日は特別にキャンプを許可してもらいました。

 

きっと、どこの田舎でも出来る体験というわけではないと思います。

ないものはないけど、御槇にしかない良さがあります。

 

 

テントの下には干し草を敷きました。

これも、全員分のマットを購入する費用がないので、

経費節減の苦肉の策としての〝干し草マット"です。

 

 

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これが以外に気持ち良くて、

干し草の香りに包まれて眠ることが出来ました。

子供たちにとっても干し草の香りの中で眠るという体験は、

きっと人生で初めてだったでしょう。

欲を言えば、

もっとちゃんと干し草を平らに均しておけば良かったです...。

(均しが甘くてデコボコ感が...。)

 

 

6歳に満たない子供たちも、

子供たちなりにテント張りを手伝ってくれます。

干し草だって広げられるし、

ペグだって打ち込めます。

なんなら打ち込み過ぎて抜けなくなるぐらい打ち込んでくれます。

「あれを手伝え」「これを手伝え」と大人が言わなくても、

子供は本来興味のあることは自らお手伝いをしてくれます。

 

 

 

 

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テントを張り終わったら汗を流しに祓川(はらいがわ)温泉へ。

集落の中に温泉があるのも御槇の良いところです。

ただちょっと施設が小さいのが難点なので、

夕方の混む時間に30人の団体は送り込めません。

大混雑を引き起こしてしまいます。

 

 

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仕方なしに夕飯前の15時から温泉に入るという、

やや無理やりなスケジュールになってしまったので、

ここは今後の改善点です。

 

 

 

 

 

温泉の後はみんなで協力して夕食をつくりました。

メニューは、

・薪で炊くかまど飯。

・地元宇和島特有の麦みそを使った味噌汁。

・御槇の豆腐屋さんのお豆腐で冷奴。

・宇和島の郷土料理『鯛めし』。

 

子供たちも一緒に作るので、

そんなに手の込んだメニューではないけれど、

地元のお豆腐や郷土料理も提供できました。

 

 

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みまき自然の学校では食事にも気を使っていて、

ご飯は地元御槇の『御槇米』を3分搗きにしたものを使いました。

味噌は市内で無添加の麦みそを作っている井伊商店の麦みそです。

調味料は食品添加物無添加のものに統一しました。

 

 

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調味料を無添加の本物にするだけで、

実は料理の味は格段と美味しくなります。

化学調味料無添加のものを常に食べていると、

そのうち化学調味料の味が分かるようになってきます。

いかに自分の味覚が鈍っていたかと思わされるわけですが、

子供たちには、

化学調味料の味を美味しいと思う味覚で育たないように、

本物の味で育ててあげたいと思う次第です。

 

 

 

料理だって子供たちは夢中でやってくれます。

飽きちゃう子は途中で飽きちゃうけど、

幼児用包丁を持って脇目も振らず真剣にきゅうりを切り続ける子もいます。

火を焚く経験だって子供たちにとっては新鮮な経験です。

 

 

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危ない物を遠ざけていても成長はありません。

誰だって失敗をしながら成長するんです。

手を切ることもやけどをすることも、

大事に至らなければそれは成長の糧になります。

みまき自然の学校はそういうスタンスでやっています。

 

 

ちなみに食器は竹を切って作りました。

温泉に入ったあとに竹をたくさん切らされた、

お父さん方の苦労を考えると、とても申し訳ないですが、

おかげで合宿中は竹の器で味わいあるお食事が出来ました。

 

 

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正直に言っておくと、

竹の器はそんなに使い勝手が良くはなかったんですが、

それしかないんだと思って使っていると、

次第に愛着も湧いてくるものです。

 

最終日、

竹の器を自然に還そうかと思っていたら、

記念に持って帰って合宿の余韻を味わいたいという家族がいました。

お世辞にも使い勝手はよくなかったわけですが、

案外そういう〝気にかかるもの"の方が思い出に残ったりするものなんです。

 

 

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不便というのは意外と悪いものではないです。

道だって不便な道ほど記憶に残りますが、

便利で快適な道はスーと通り過ぎて何の思い出にも残りません。

意図的に自分から不便になることを受け入れられるほど、

現代人は寛容ではありませんが、

一方的に仕方なく与えられる不便というのは、

実は良い思い出になり貴重な経験となったりするものです。

 

 

 

 

その晩は地元の天体観測グループに依頼して、

本格的な天体望遠鏡で星空観測をしていただきました。

 

 

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土星の輪までしっかり見える天体望遠鏡は、

大人も子供も大はしゃぎでした。

というか大人の方がはしゃいでいたぐらいです。

 

 

 

 

二日目。

 

 

 

朝にクワガタ捕りをしました。

やはりカブトムシやクワガタは、いつの時代も子供のアイドルです。

男の子はとても盛り上がっていました。

月並みだけど、

子供たちに田舎で体験させてあげたいことの1つです。

 

 

 

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この日の一大イベントは、

標高1065mの篠山の山頂に登山することです。

しかも親と離れて子供たちとスタッフだけで登ります。

 

 

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登山口の駐車場から山頂へは大人の足で45分ほどなので、

それほど長い道のりではありませんが、

時には自分の腰ほどの高さのある段差も乗り越えなくてはいけません。

 

 

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幼稚園生程度の子供たちに、

そんな冒険的なことが出来るんだろうか?

と思われるかも知れませんが、

意外に子供たちというのは大人が想像するよりたくましいです。

 

4才以上の子なら大人の手助けがなくても難なく登ってしまいます。

3才未満だとさすがにちょっと厳しいですが、

/4くらいの道のりは自分ひとりで登れます。

 

 

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結局、

「○○君はまだ小さいから無理だよね」と言って、

大人が勝手に子供の限界を決めているだけかもしれません。

 

 

 

大人は子供の1時間後に登り始め、

山頂付近で子供たちと合流しました。

その後一緒に山頂でおむすび弁当を食べて下山した訳ですが、

きっと親もずいぶん不安だったと思います。

 

でも、

子供だけでこの険しい山道を登れたという経験は、

子供にとっても、

親にとっても、

大きな自信になったと思います。

 

 

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2日目ともなると、

子供たち同士のコミュニティが出来上がって、

お互いに名前で呼び合ったり一緒に遊び始めたりしていました。

子供たちが牧場を走り回って遊ぶ姿はとても微笑ましかったです。

 

 

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実際はこういう状態になってからが本番というか、

本当に楽しめる時間になるのだと思いますが、

せっかく出来上がったコミュニティを、

2泊3日で解散させてしまわなければいけないというのが、

非常にもったいなく感じました。

 

 

 

この日の晩はマクロビ料理を作りました。

いつものメンバーの中に、

マクロビ料理を習っているお母さんがいたので、

1食分の献立を担当してもらいました。

 

羽釜ご飯と麦みその味噌汁に、

マクロビの調理法で作った、

「カボチャの煮物」と「切り干し大根」と「キュウリとワカメのナムル」。

 

 

「調理法と調味料だけでこうも違うんだ!?」と驚かされますが、

砂糖を一切使っていないとは思えないほど甘みがあり、

カボチャが嫌いで普段は食べないという子も、

バクバク食べていました。

子供は正直というか、

胃袋は正直というか、

本当に美味しいと思ったものは、

1かけらも残らずなくなるものだということを目の当たりにしました。

カボチャの煮物は鍋に残った汁まできれいになくなっていました。

 

 

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この日は夜に大人だけで座談会をしました。

社会のこと、

子育ての事、

そういう突っ込んだ話を参加者の大人と話せた時間は貴重でした。

主催者と参加者がコミュニケーションを図る時間があるというのも、

悪くないスタイルだと思いました。

 

 

 

 

3日目。

 

 

 

この日は川遊び。

上流に人家のないきれいな川で遊びました。

 

 

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小さな川だけど、

子供たちにとってはワクワクドキドキすることがいっぱいです。

 

メダカもいれば、

いろんなアイテムも落ちているし、

浅いところも深いところもあるし、

水で遊ぶと言っても、

プールと川では遊びの幅がずいぶん違います。

 

 

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人生で初めてカニに指を挟まれて泣いた子がいましたが、

カニに挟まれた時の痛みを体得したことだろうと思います。

 

 

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その少し後に小さいカニを見つけたので持って行ってあげたら、

案の定嫌がっていました。(そりゃそうだ。)

でも、

「絶対痛くないから挟まれてごらん」と言って、

僕が目の前で指挟まれているのを見せてあげると、

恐る恐るですが指を伸ばしてきました。

そうしてドキドキしながら(腰は引けながら)挟まれてみたところ、

ムニッと挟まれても、小さいカニなら痛くなかった!

「同じカニでも小さいカニなら痛くないんだ!」

とわかってホッとしていました。

あの時、ドキドキしながら指を差し出した冒険も、

きっと思い出に残ることでしょう。

 

一つ一つの体験はそうたいしたことではないし、

それが目に見えて何かにつながるわけではないけれど、

そういう一つ一つの積み重ねが、

子供の感性を形作っていくのだと思います。

 

 

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夏と言えば定番のスイカ割りをしました。

子供の力で割れなかったので、

最後は巨漢の父ちゃんの一撃でたたき割りました。

するとスイカは見事に爆裂!!

包丁で切るに切れない爆裂具合だったので、

もうそのまま食べようということになりました。

子供たちはそのまま手を伸ばしてむしり取って食べていましたが、

その姿は砂糖に群がるアリのようでした。

 

 

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野生動物の食事光景を見たようで、

何か原始的なだなぁとちょっと感心してしまいました。

やはり子供の方がより自然に近いのでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

ずいぶん長文になってしまったけれど、

この辺でお終いにしたいと思います。

 

 

 

今回の合宿は、

初めての試みで不安だらけでしたが、

無事に終わって今は本当にホッとしています。

やはり人を受け入れるというのは大変だと実感しました。

 

 

合宿後、家に帰った参加者の子が、

「らいねん、また、みまきにいきたい」と、

言ってくれているらしいです。

 

 

夏休みになったら帰りたい『ぼくのいなか』に、

御槇もなれるかな。

と思った夏の出来事でした。

 

 

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